怪者の戯言 / genuine genius on TOKYO

東京のすみっこからスゴイ!オモロイ!を探してます。

もう26年、まだ26年

お世話になっております。怪者でございます。

 

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今年も1月17日がやってきた。

最近はちゃんと眠れるし、明け方に目が覚めなくもなった。

 

26年前の今日。朝の5時46分。

出張の予定で、早朝の新幹線に乗るために身支度をしていた。

スーツを着て、小さめのキャリーバッグに数日分のシャツや下着を詰め込みベッドに座っていた。

 

神戸から大阪の都心部を貫く都市高速、阪神高速沿いに住んでいた。

今朝は阪神高速がうるさいな。

そう思っていた。

普段は夜が明けた後のもう少し遅い時間に流入量が増えうるさくなる。

 

西側から聞こえるゴーっという音が、ものすごい勢いで近づいてくる。

なんだ?と思った瞬間にゆっさゆっさと部屋が揺れ始める。

1度目の揺れで頑張って買った29インチのブラウン管のテレビがローボードから落ちる。

部屋中の物が落ち、食器棚、本棚が倒れて部屋中が雑音に包み込まれる。

立ち上がることが出来ない。

とても長く感じた揺れはゆっくりと治まり部屋を見回す。

 

デスクに据え置いてあったパソコンやモニター、プリンターが落ちていた。

高いところに置いていたモノも全て。

 

当時付き合っていた彼女が冬休みで帰省していて良かった。

 

今思えば、若かったなと思うが、その部屋の惨状を眺めぼんやりとしながらも、出張に行かなくちゃと立ち上がった。

歪んでしまったのか、なかなか開かない玄関を蹴破り、外へ出た。

まだ、真っ暗だ。

ちょっと頭をぶつけたりしたものの部屋の中以外はとりあえず大丈夫。

最寄りの駅に向かう。

 

電車が止まっているらしい。

駅員の説明がたどたどしく良く分からない。

 

とりあえず、新大阪駅に向かおうと家に戻り、自分の車に塀が崩れて乗っかっているのを見てげんなりしながら、同じく倒れているバイクを起こした。

 

街灯がついておらず、気を付けなければと思い、ゆっくりと走り出す。

闇の中に、崩れたと思われる一戸建てをちらほら横目に、人が外に出てきていて、大きな地震だったんだな。と感じ始める。

 

もちろん、新大阪駅でも在来線、新幹線共に運転を中断していた。

 

大阪駅にほど近いところに位置した当時の勤め先に向かう。

夜が明けてきて、街の状況を眺めながら少し遠回りする。

 

大阪市内は大きな被害は少なそうだったが、中之島朝日新聞の古いビルの窓がたくさん割れており、歩道にガラス片が散らばっていた。

 

事務所に着くと、徹夜をしていた先輩たちが死にそうだったと口々に話す。

始業時間になっても、誰も来ない。

電話が輻輳していて、なかなか繋がらないらしく、連絡もない。

 

テレビをつける。

大きな地震であったことが知らされているが、詳しいことは分からない。

 

ここから先は詳しくは書かないし、書けない。

 

住んでいた町は大火にも合い、マンションもなくなった。

壁が乗っかっていた愛車は四駆だったため凹みはすれど、走るのには問題なかった。

たまたま、キャンプ道具を積んでいて良かった。

出張の予定だったので、背負えるキャリーバックには着替えもある。

 

何もかも失ったけど、なんとか、今も生きてる。

ただそれだけ。

1月16日の夜は何年も眠れなかった。眠れても17日の未明に目が覚めた。

今はちゃんと眠れる。